2015年3月期のネットキャッシュは212億円と、前期から14億円減少しました。これは、純利益の増加により手元預金は増加したものの、次期以降の成長に向けた開発タイトルラインナップ拡充に伴う開発投資への注力のため、借入金が約30億円増加したことなどによるものです。
しかしながら、過年度の推移としては、私が取締役に就任した2002年3月期は、現預金から有利子負債を差し引いたネットキャッシュは111億円でしたが、2015年3月期は212億円となり、この13年間でキャッシュポジションを323億円改善しています。
ネットキャッシュの推移
當社は、ネットキャッシュを効率的に創出するため、キャッシュを生み出すプロセス管理を重視した2つの管理手法を採用しています。1つ目は、「投資回収管理の徹底」として、タイトル別投資回収狀況(ROI)を、ブランドやプロデューサーなどのカテゴリー別で比較可能なデータベースで管理し、各プロジェクトの投資収益性を把握?分析しています。2つ目は、「運転資本効率の徹底」として、事業別投下資本管理システムを拡張し、回転日數や回転率など更なる可視化の仕組みの構築に取り組んでいます。
當社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指す中で、資本効率性の指標として、ROE(株主資本利益率)の目標値を下記の通り掲げています。
ROEの実績と目標 | 2013年3月期~2015年3月期 実績3期移動平均 |
2015年3月期~2017年3月期 目標3期移動平均 |
---|---|---|
6.7% | 8~10% |
2015年3月期までの過去3期の移動平均「6.7%」という実績に対して、2017年3月期を最終年度とする3期の移動平均で「8~10%」に引き上げることを第一段の目標としています。
私は、この目標を達成するため、ROEの3要素にそれぞれ対応する必要があると考えています。
ROEの3要素 | 2012/3 | 2013/3 | 2014/3 | 2015/3 |
---|---|---|---|---|
當期純利益率(%) | 8.2 | 3.2 | 3.4 | 10.3 |
総資産回転率(%) | 83.5 | 90.1 | 105.8 | 63.8 |
財務レバレッジ(倍) | 1.66 | 1.66 | 1.51 | 1.41 |
最も重要かつ最優先すべき項目は、1)當期純利益率の向上です。
當期純利益率は、この3年にわたるデジタルコンテンツ事業の仕組みの変更やオペレーション?管理體制の仕組み強化により、大幅に改善しました。今後は成長戦略を著実に実行しタイトルラインナップを拡充することで、更なる利益率の向上を目指します。
また、2)総資産回転率、3)財務レバレッジの向上についても今後の検討課題と認識しています。この取り組みの一環として、資金調達はコミットメントラインを中心としたデットファイナンスを主軸に據えています。今後は、自己株式の活用も検討材料として取締役會で議論するなど、資本効率を重視した経営に努めてまいります。
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