オンラインビジネス(モバイルコンテンツ+PCオンラインゲーム)では、1)マーケティング?マネタイズ面を強化、2)自社タイトルラインナップの増強、3)アジア地域での事業提攜の促進、の3つの施策を掲げています。
成長率の高いオンライン市場において、前期はモバイルビジネスが赤字に陥るなど苦戦を余儀なくされました。しかしながら、改革の「第2ステージ」として、課題?未達要因の分析に基づく組織や施策の見直しを斷行したことにより、オンラインビジネスの営業利益率は前期の赤字から約20%まで大きく回復しました。
しかしながら、私はまだ投資家の皆様の成長戦略(オンライン)に対する懸念は十分に払拭できていないと考えています。その理由として、今回の収益性の改善は不採算タイトルの解消とコスト見直しによる貢獻が大きく、當期の売上101億円は前期の128億円を下回っているからです。
したがって、次期以降の課題は、売上を成長軌道に乗せていくことです。下記の3つの施策を推進することで、まずは次期の売上高135億円(當期比33.7%増)を達成し、投資家の方々の「懸念」を「期待」に変えていきます。
當社オンライン売上推移
モバイルビジネスにおける成功の重要な要件は、1)參入障壁が低く數多くの競合ソフトの中で差別化できる「人気コンテンツ」を保有していること、2)ゲーム配信後、ユーザーの動向を分析して、開発にフィードバックする運営ノウハウを保有していること、です。
當社(カプコンブランド)は、「バイオハザード」など多數の人気コンテンツを保有しているものの、前期は國內のネイティブアプリの運営ノウハウが不足し、収益面で軒並み苦戦しました。したがって、改革の「第2ステージ」として、東京と大阪で並立していたモバイル開発部隊をオンラインの運営ビジネス経験が豊富な東京部隊に一本化しました。これにより、運営ノウハウや內部の人的リソースを効率的に活用できるようになりました。
一方、前期は「ビーラインブランド」でも苦戦しました。更なる成長を意識し過ぎた結果、本來の強み以外の「男性層」向けタイトルにもリソースを投下したことが原因です。したがって、改革の「第2ステージ」では、本來の強みである「女性カジュアル層」への集中に舵を切りました。
當期は、即効性のある不採算タイトルの解消とコスト見直しにより、売上高41億円(前期比36.9%減)となりましたが、営業利益率は20%臺まで回復しました。次期はタイトルラインナップの増強やアジア展開(施策3)により、売上高55億円(當期比34.1%増)と増収を計畫しており、「人気コンテンツの活用×運営ノウハウ」體制の真価が問われる年であると認識しています。達成の鍵を握るのは『モンスターハンター エクスプロア』および『Smurfs Village and the Magical Meadow』の2タイトルと考えています。
オンライン戦略マトリックス
PCオンラインでは、前期において他社タイトルとの競合激化やブランド戦略の遅れにより、収益性は損益分岐點まで大きく低下しました。課題は『モンスターハンター フロンティアG』依存からの脫卻、つまりタイトルラインナップの拡充と効率化でした。したがって、改革の「第2ステージ」として、オンライン開発フローの抜本的な見直しや新たな開発マップの策定を行い、中期的な成長のための體制を整備しました。
當期は、モバイル同様に、不採算タイトルの解消とコスト見直しなど即効性のある施策により、売上高60億円(前期比4.8%減)となりましたが、営業利益率は15%臺まで復調しました。次期は、自社タイトルラインナップの増強およびアジア展開(施策3)などにより、売上高80億円(當期比33.3%増)を計畫しており、次期を起點に本格的な成長を果たしていかねばなりません。達成の鍵となるのは、アジア向けタイトル以外に『ドラゴンズドグマ オンライン』および『ブレスオブファイア6 白竜の守護者たち』の2タイトルと考えています。
私は、カプコンの成長を大きく加速させる可能性があるのが、アジア展開であると考えています。アジアへの進出方法は2通りあり、1つは臺灣子會社による自社開発?運営です?,F在、『鬼武者Soul』や『モンスターハンター フロンティアG』を臺灣で配信中です。
アジア地域での事業提攜
もう1つは、アジアの有力運営會社との業務提攜による開発?運営です。下表の企業とライセンス契約を締結しており、世界最大のオンラインゲーム市場である中國をはじめ、韓國やタイでも展開します。特に、中國でのテンセント社との協業による『モンスターハンターオンライン』(2015年4月クローズドベータテスト開始)はユーザーの評価も高く、良い感觸を得ています。加えて、モバイルコンテンツも同様に、スマートフォンの普及が急速に進むアジア市場で、『モンハン 大狩猟クエスト』など既存のアプリを活用して展開します。
アジアライセンスタイトル一覧表
タイトル | 地域 | 協業先 |
---|---|---|
モバイルコンテンツ | ||
モンハン 大狩猟クエスト(簡體中文版) | 中國 | Qihoo 360社 |
ストリートファイター バトルコンビネーション |
中國、韓國、臺灣、香港 | Teeplay Interactive社 |
ストリートファイターIV アリーナ | 韓國 | Nexon Korea社 |
PCオンラインゲーム | ||
モンスターハンターオンライン | 中國 | Tencent社 |
魔界村オンライン | 中國、韓國 | Shanda Games社 |
PCブラウザゲーム | ||
鬼武者Soul (簡體中文版) | 中國 | Cayenne Entertainment社(臺灣) 中國 Blue Panda社(中國) |
鬼武者Soul (タイ語版) | タイ | AsiaSoft社 |
モンスターハンター メゼポルタ開拓記 (簡體中文版) |
中國 | Tencent社 |
自社展開以外に協業を推進する理由は、アジアでのカントリーリスクの回避と運営ノウハウ習得のため、臺灣以外では地元の有力運営會社との提攜が現時點では収益の最大化に有効と判斷したためです。
私は、オンラインビジネスを成長戦略の核と位置付けています。この市場の成長性だけでなく、運営ノウハウは、DLC比率が上昇するコンシューマにも活用できます。つまり、デジタルコンテンツ事業間の情報?ノウハウの共有により相乗効果を発揮するからです。
私は、COOかつ開発のトップとして、この戦略による成果を実現するべく全力を盡くし、投資家の皆様の期待に応えます。
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